群発地震の穂高滝谷


98年8月14日〜23日

横山ほか2名

今回の山行は群発地震と雨のため予定のほとんどをこなせず,登攀できたのはドーム中央稜,北壁,2尾根のみとなった。

8/14
前夜沢渡にて仮眠。上高地から涸沢へ。入山日は天気もまあまあで,まさかこれから地震と雨で停滞5日間となるとはこれっぽっちも思わなかった。夜中10分間隔くらいで地震有り。まともに眠れなかった。テントは100張り位。

8/15
朝から雨が降ったりやんだり。北穂南稜テント場の雪渓はすでにないとのことで,水の確保が難しいため,天気が悪ければ涸沢に停滞を決める。夜から風雨が強くなり,3:30頃最大級の地震があり,地の下から突き上げるような揺れ,前穂,奥穂方面からナイアガラの滝のように崖崩れの音がしておちおち眠っていられない。

8/16
朝から風雨強し,午後より小康状態。リーダーは北穂テント場へ水12gデポにあがる。

8/17
前線が停滞しているので朝から雨風強い。本日も停滞。山岳指導所によると涸沢槍方面登山道崩壊。北穂B沢,C沢下降可能とのこと。

8/18
朝やっと晴れ間が見える。北穂へ出発したが,途中から小雨となる。南稜登山道も一部崩壊している。キレット,涸沢槍方面は通行禁止と聞く。夜風雨強くテントが飛ばされやしないかと冷や冷やもんでした。

8/19
ガス濃く,視界が悪い。小雨が降ったりやんだり。停滞

8/20
昨日同様ガス濃く,視界悪い。小雨が降ったりやんだり。他2名は午後からドーム北壁にとりつく。2時頃から涸沢側に晴れ間がのぞく。蝶,常念,北尾根と見渡せた。

8/21
やっと晴れる。入山以来8日目の快晴だ。準備をしていざ中央稜へ。涸沢岳方面のドームをすぎたあたりから踏み跡を下る。第3尾根から懸垂下降でバンドに下り,取り付きへ。

 

1P目 チムニー 自分としては初めてのチムニー。どうにかこうにか手足突っ張り状態で登る
2P目 リッジ〜左のスラブXとあるが右の方を登る。
3P目 リッジT
4P目 凹角〜チムニー ルートを探すがよくわからずなんだか非常に難しい所をトラバースし,チムニーに突入。ザックを背負ってはとても無理なので,おろして登る。体がやっと入る位のチムニーをズリズリと登ったら新品の雨具に穴が空いてしまった。
5P目 凹角〜ハングを右から巻く。凹角はどうにか登れたが,ハングの巻きは背丈が物をいう所で,A0の嵐となった。まだまだ修行が足りません。

8/22
今日涸沢まで下るので,午前中2尾根の散歩に出かける。松濤岩から踏み跡に入りC沢左俣を下る。
P2付近から登り始めるがルートも崩壊していて地震の影響がかなりあるようだ。11:00終了後涸沢に下る。テントを撤収しているときオコジョを見かけた。

8/23
涸沢〜横尾〜上高地 帰京

10日間の夏休みは異常気象と地震により振り回された。自然が相手とはいえ残念でならない。





                                                                                                     
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