濡れ濡れの烏帽子沢奥壁 南稜
2003.10.4 曇りのち雨
Iさん、ダブルMさん、Shukla
当初の予定は変形チムニーだった。土曜の深夜雨が降り4:30に起きた時は出合の駐車場は
しっとり濡れていた。しかし今日の予報は快晴で降水確率も確か20%位だったので取りあえず
変チの取付きまで行く事にする。
出合から右岸沿いに行き一ノ沢の先から左岸に一度渡り、更に右岸の岩場を登りヒョングリの滝
の下降点に着く、ここから本谷に下りテールリッジ末端から中央稜の取付きを過ぎて中央カンテの
取付きまで一気に登る。ここで偶然にも以前在籍していたD会のTさんにバッタリ会う、挨拶を交わ
してから変チの取付きに向かったが正面ルンゼや変チ周辺からは水が滴っていてとても快適には
登れそうに無い。暫くメンバーと思案、変チは諦めて代替で濡れていてもどうにか登れそうな南稜
にする事にした。(私は登った事のない中央稜に行きたかったのだが・・・)
天気はいつ降り出してもおかしくないどんよりとした曇り空、気温も低く肌寒い。
全く最近の天気予報は当てにならないなぁ、まぁ谷川独特の気象で仕方が無いのかも知れない。
南稜テラスに着くと既に順番待ちの状態で聞けばやはり他のルートを止めて南稜にしたパーティ
だった。上を見ればチムニーが登れなくて敗退途中のパーティが居たりして相当ルートの状況は
悪い様だ。準備をしていると南稜を目指して他パーティが沢山上がって来た。
パーティはM師匠とShukla、IさんとMさんとで分けてまず私が1P目を登る事にした。
1P目 20〜30分程待ってからチムニーに向かって登り出したが岩は濡れていて冷たく直ぐ指の
感覚が無くなってきた、ホールドを持っているのだがその感覚が指に伝わらないのだ。
冬の天王岩を登った時もこういう状態になったがその時はガスで手を温めて登った、今回はそんな
事は当然出来ないので指に息を吹きかけつつどうにかチムニー手前のビレイ点に着いた。
まったくこの先が思いやられる状態だ。
2P目 11クライマーのM師匠がリードするがチムニーでやけに苦戦している、相当悪いのだろう。
暫く苦戦の末チムニーを抜けピッチを切った。フォローしたが手も足もヌルヌルで中々思い切って
立ち込めないのだがどうにか切り抜けビレイ点へ。
3P目 そのまま取付くも4年前確かリート゜したピッチなのだがすっかり忘れてしまっている。右に
回り込む方が簡単に見えるのだがハーケンが見当たらない。直上には3m先にハーケンが見えた
のでこちらを登る事にしたが乾いていればなんの事はないフェースが兎に角難しく感じるのだ。
それでも一歩一歩慎重に登り草付手前でピッチを切った。草付はそのまま歩き4P目へ。
4P目 M師匠ロープ一杯登って馬の背リッジ手前でビレイ。
5P目 右側に回りこんでエイリアンを一つかましてからリッジをクラック手前まで登る。初めて登った
時は結構ビビッた記憶があったのだが今回は特に難しく感じなかった。
ここから見た核心のフェースは水が滴ってテカテカ光っていてムズそう・・・
6P目 さすがのM師匠も慎重にジリジリとクラックから核心の垂直のフェースを越え終了点まで。
フォローで登れぱホールド、スタンス全てが濡れていて兎に角ムズイ、ホールドを持てば手首から
水が入ってきて嫌らしい、ヌンチャクなんて絶対掴むものかと意地になって登ったが最後の一手だけ
どうしても我慢出来ずA0してしまった、くそ〜っ。
聞けばM師匠もA0したそうな、まっ仕方ないか・・・。登攀時間は2:30と思った以上に短かった。
終了点で後続パーティを待つ、Iさんは核心でハーケンを打ち切り抜けた様だ。
休憩も早々に6ルンゼを懸垂し鎌形ハング下に降り立ったがとうとう雨が降り出した。更にもう2回
懸垂して中央稜取付きまで下った。雨も激しく降ってきてあっという間に辺りの壁は滝状態になって
しまった。雨で濡れたテールリッジは滑りそうなので何回かロープを出したが遥か下に見える本谷の
渡渉地点が見る見るうちに増水してしまい果たして渡渉できるだろうかと心配になった。
テールリッジ末端まで下りた所先行パーティの一人がロープを着けて渡渉中、流れも早く大変そうだ。
そのロープを使わせて貰いM師匠がまず渡り、続いて自分がバックロープを引いて慎重に渡った。
Iさん、Mさんが渡る頃には大分水量も減ってきた。後は朝来たアプローチを辿りどうにか明るい内に
駐車場に戻る事が出来た。ずぶ濡れになった衣類を着替えてから湯テルメに直行、すっかり冷え切
った身体を温めたが指先の感覚は中々戻らなかった。
今回初めて雨のテールリッジを下ったが中々良い経験になったと思う。変チは来年にリベンジだ!
出合5:30〜南稜テラス 登攀開始8:15〜登攀終了10:40〜出合17:10