瓢箪から駒の川乗谷・火打石谷


2001年6月30日(土) 雨
メンバー 横山他2名

以前から気になっていた奥多摩の倉沢谷・長尾谷を一人で遡行する予定で青梅線に乗り奥多摩に向かうが途中青梅辺りから雨が降り出した。
今日は曇りの予報だったような気もしたが、まぁ沢に入ってしまえばどうせ濡れるので気にもせず、奥多摩駅前で東日原行きバスを待つ。

突然男性から声を掛けられるがすっかり忘れていて思い出せない。4年程前にO沢を一緒に遡行したIZですと言われやっと思い出した。
某会のITさんも一緒でこれから川乗谷・火打石谷の予定と聞く、何気なく今度沢にでも連れてって下さいと言うとじゃあ一緒にいかがとのお誘い。
が、丹波の火打石谷は知っているが川乗の火打石谷は知らないので遡行図を見せてもらうと、険悪なゴルジュの滝などと書いてある。滝は巻くからと言われ、それではとありがたいお言葉に甘んじて同行させて貰うことになり、瓢箪から駒の川乗谷・火打石谷遡行となりました。

川乗橋でバスを降り1時間程林道を歩き細倉橋から入渓。火打石谷だけでは行程が短いので川乗谷本谷を遡行しながら出合に向かうことにする。
雨は降り続いているが沢に入ってしまえば余り気にならない、又気温が高いせいか水も冷たくない。
すぐ大きな淵を持った滝が現れるが直登出来そうに無く、右岸を登山道まで巻く、続く10m滝も直登不可能で左岸を高巻き少し先の橋から再び入渓。
その後は水線沿いにしばらく行くと左岸から3mの滝を持つ沢が出てきたのでそれを火打石谷と勘違いして入ってしまい往復で30分のロス。
枝沢から戻り5分程行くと今度こそ火打石谷の出合に着いた。

この辺りは緑も濃く鮮やかで渓相も良い所だが、さすがに今日は薄暗くてちょっと残念だ。淵の深さも暗くてよく判らず、このまま本谷を詰めるか火打石谷を遡行するか迷ったがもしもの時は登山道にエスケープすることにして遡行を続行することにした。

F1(4m)を左側から登り、いよいよ本日の核心F2 5段40mS字状のゴルジュの連瀑となる。両岸は高く切り立っており水も凄い勢いで落ちていて険悪な滝の雰囲気を醸し出している。
2段目5mはシュリンゲを掴んで登り、続く3段目5mからロープを出して4段目10mへ。
さてここからが核心で水線沿いはツルツルで直登不可能、滝のすぐ右側は若干ハングしておりそれも逆層気味で雨と滝の飛沫で濡れていて相当悪そう、古いピンは何本かある様だかハングの上がどうなっているか不明。巻きは右側のなぜかアルミの梯子が置かれているところをトラバり5mほどの垂直のルンゼを登る様だがプロテクションもなく非常に悪く見える。
リーダーはピンがあるハングの方を登ってみて無理だったらトラバースする事に決めた。

まず背丈のあるITさんがA0しながら登り、ハングの上を覗くがそこから先がピンが無くて無理との事でリード交代、夏は沢しか行かないIZさんがシュリンゲを足がかりに登りハング上まで行く、そこから先が相当悪いのか一向に進まない、どうにか少し先の頼りない立ち木にプロテクションを取るもシュリンゲとビナが足りなくなりこちらから送る。
立ち木から今度は右の泥壁に取り付き5m上の壁にピンを見つけビレイ解除。かなり時間が経ち寒さで震えが出てきた所で自分が登る番になった。
ハングしているので体が後ろに引かれるがシュリンゲに立ちこみA0をしてハング上部に出た、がここから立ち木までの間が悪かった。
左足のスタンスが遠くて小さく外傾している上に濡れているので思い切って行けない。ここで落ちたら左側の滝まで振られて登り返しは容易ではない。
ここは一発勝負とばかりに気合を入れスタンスを決め立ち木のシュリンゲをどうにか掴んだ。立ち木の足元もスタンスが悪くてシュリンゲを掴んでいないと落ちてしまいそうだ。泥壁は片手を土の中に突っ込みながら確保点まで登った。
4段目はグレードX+以上あったかも知れない。今まで登った滝のなかで一番しょっぱかった。結構早かったじゃないとIZさんに言われたが、自分では絶対リードは出来ないと思った。IZさんに感謝である。
ITさんが回収しながら登ってきてそのまま次のピッチへ、10m程トラバり支尾根に出たのでピッチを切りここで登攀終了。
少し休んでから支尾根を登り左に巻き気味に下ると5段目20mの上部に出た。なんとこの滝の登攀だけで2時間弱かかってしまった。
我もと思われる方は果敢にアタックされたし。

ここから先は渓相も変わり小滝と淵が続くゴルジュとなり腰までつかったり、へつったりで楽しい所だった。二人には呆れられたが登攀で汚れたTシャツ、ジャージも洗えて綺麗さっぱり。この辺りは深山幽谷の世界という感じでとても美しかった。
2:1の二俣を左に行き15分程で登山道らしき所に出たのでここで遡行終了とし、装備を解き小雨が降り続く中、川乗橋へのバス停へと下った。
今日偶然にも出会った自分を快く同行させて下さったお二人に対して感謝の思いで一杯です。

タイム
細倉橋9:40〜枝沢10:55 11:25〜火打石谷出合11:30〜F2登攀終了13:45〜2:1の二俣15:00〜終了点15:15〜下山開始15:40〜川乗橋17:07



                                                                                            
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